
故宮 完全ガイド
見どころ・歴史・観光情報
北京故宮は「紫禁城」 としても知られる、明清時代(1368~1911年)の皇帝の宮殿です。ユネスコ世界文化遺産に登録されており、中国に現存する最大規模で最も完璧に保存された木造建築群の一つです。約72万平方メートルの広大な敷地に、大小の宮殿や部屋が8,700間以上も立ち並び、「殿宇の海」 とも称される壮観な景観が広がっています。ここでは、600年にわたる中国王朝の歴史と文化を体感できます。
1. 主な見どころ
🏯 外朝 — 国家儀式の空間
外朝は、皇帝が国家的な儀式や行事を執り行った重要なエリアです。
三大殿: 太和殿・中和殿・保和殿から構成されます。
太和殿: 故宮で最も壮大な建築物で、皇帝の即位式など最重要儀式が行われました。内部には玉座(龍椅)が置かれ、宮殿の屋根には、中国建築の特徴的な装飾である吻獣が見られます。
文華殿・武英殿: 三大殿の東西両翼に位置します。
🏮 内廷 — 皇帝一家の生活空間
内廷は、皇帝とその家族が日常を過ごした私的な区域です。
後三宮: 乾清宮・交泰殿・坤寧宮を指します。
乾清宮: 皇帝の執務室兼寝殿でした。明代の「壬寅宮変」や「紅丸案」など、歴史上の有名な事件の舞台にもなりました。
東西六宮: 后妃たちが住んだ場所です。現在は、さまざまなテーマの展示館として公開されています。
養心殿: 清朝後期には、雍正帝以降の皇帝が政務と居住を共にする「政寝合一」の場となり、国の政治の中心となりました。
🌿 御花园 — 宮廷の庭園
内廷の北側に位置する、皇帝一家のための美しい庭園です。伝統的な園芸技法で造られ、四季折々の景色をお楽しみいただけます。
2. 歴史物語
🐉 故宫にまつわる伝説
9999.5間の伝説: かつては、故宮の部屋数が天の宮殿より半間少ない9999.5間であるという伝説がありました。これは、天上の天帝の住まいである「紫微宮」1万間を越えてはならないという考えや、「九」が皇帝を象徴する最も尊い数字であり、その響きが「永久」を連想させるためでした。実際には、1973年の調査で8,707間であることが確認されています。
故宮の別名「紫禁城」の由来: 中国古代の天文学では、天帝の住む星「紫微星」が宇宙の中心とされていました。皇帝は「天帝の子」として、その居所である宮殿を「紫微宮」に例え、さらに一般人は立入禁止の「禁地」であったことから、「紫禁城」と呼ばれるようになりました。
3. 観光の前に便利な情報
住所:北京市東城区景山前街4号
通常の開館時間:
4/1-10/31:8:30-17:00(最終入場16:10)
11/1-3/31:8:30-16:30(最終入場15:40)
休館日: 毎週月曜日(祝日・旧正月・国慶節などの大型連休を除く)
入場チケット:事前予約必須。故宮博物院の公式ウェブサイトまたWeChat公式アプリで最低でも1週間前に予約してください。
主な出入口:入口は午門、出口は神武門となります。
神武門の正面には景山公園があり、故宫を一望できる絶景スポットとして人気です。
4. 観光マナーとご注意
● 大きな手荷物について:
敷地内への大型荷物(キャリーバッグなど)の持ち込みはご遠慮いただいております。午門前に手荷物預かり所がございます(有料)。預けられたお荷物は、出口の神武門でお受け取りいただけます。
● 禁止行為:
◆ 商業目的の大規模な写真撮影(三脚、滑車などの機材使用)。
◆ 敷地内全域での喫煙。
◆ ドローンの飛行。
● その他のご案内:
館内では、展示品や建物に触れないようお願いします。ご覧の美しい景観は、未来へ引き継ぐべき貴重な文化遺産です。
